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海月希美のブログ

おやすみ、歌舞伎町。

◆◆◆◆◆お知らせ◆◆◆◆◆
  私、海月あめさま。は
   先日11月4日を持ちまして
 ユグドラシル アルテミスを
   退店させていただきました

 お世話になった全ての方々、
 本当にありがとうございます

 これからも様々な活動は
   させて頂くので、
引き続き応援頂けたら嬉しいです。 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

どうして辞めたのか気になる方も居るとは思いますが、理由は長くなるので省略させて頂きます。

が、
・お客様が切れた・病状が悪化した
・警察沙汰・店と揉めた
・モチベーションの低下
などのマイナスな理由では無いです

体力がない今の自分で出来る事に
挑戦していきたい。

アルテミスの幹部や社美緒会長には
数ヶ月前から相談していた事です。

とりわけ社美緒会長には
本当に文字では書ききれない程お世話になりました。

アルテミス及びユグドラシルグループでの仕事を出来た事で、
自分に自信と技術と能力がついた事を本当に身に染みて感じています。
ありがとうございました。

支えて頂いた女の子
正直、何の努力もしてない私を
ここまで持ち上げてくれた事に
本当に心から感謝しています。

行動、言葉、精神ともにかっこよくある努力だけはこれからも絶対怠らずにしていきます。

今はいないあなたの支えも
僕を構成している成分の1つとして
今も残っています。

『いつでも戻ってきてね。』

今日も支えてくれているあなたには
明日からも一緒に居たいって伝わる努力をします。


いつか会いたかったのに!
って今から言ってくれるあなたには…
素敵な言葉をあげます

「『いつか』は、危険な言葉だ、
実現する事はない。」

トムクルーズが言ってました。


最後に、
長文を読んで頂いて、ありがとう。

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おはうよ、歌舞伎。017

人と話すのは苦手だけど好きだ。
努力して人と楽しく会話する技術を身につけた

おとなしい子どもだった。
人と話すより自然の中で花や生き物を見ている時間の方が圧倒的に長かった。

今でもおとなしい方だし自然は好きだ。
ふらっと滝でも見に行きたい。

でも楽しい事も好き。
お酒や食事をしながら
バカみたいな話をして笑っている時間は麻薬のように中毒性がある。

お笑い芸人も好きだしモノマネも好き
歌も芸術も自然も好き。


統一性がなくても、趣味は多い方が良いに決まってる。
人生に彩りを与える。




おはうよ、歌舞伎。




君はシャンパンタワーを見たことがある?

無数に積まれたグラス
ピラミッドや円すいの形
一番上にある1つのグラスにシャンパンを注ぐと
溢れだした液体が二段目、三段目のグラスに注がれて
溢れるまま注ぎ続けると
一番下段のグラスまで満たされる。

ゴージャスな飲み方だ。
それを皆に分け与えて乾杯する。



僕達はその一番上の1つのグラスだ。
自分を満たさないと自分の周りを満たす事は出来ない。

幸せをわからない人に
他人を幸せにする事は出来ない

料理が出来ない人に
料理の先生が務まらないように


一番輝いて居たいんだ。
僕が輝いているとき
店の後輩の顔も楽しそうだ。
店の子達が楽しそうだと
通ってる女の子達ももちろんいつもより楽しそうだ

それを見てる上司、
社長や会長も嬉しそうだ

それをSNSで流す。
それを見た来てない人まで楽しい気分を作れる。

そう考えるとやっぱり僕はシャンパンタワーの一番上のグラスなんだと再確認させられる。


楽しさは分けても減らない
いくらでも連鎖させる事が出来る。

周りの人が楽しそうなのを見ると僕はもっと楽しい。

そうやって僕から始まったシャンパンタワーの段が増えていく
もっと多くの人に楽しさや面白さを提供していきたい。

色んな趣味を混ぜる事で
色々な味を楽しんで貰いたい。


日本人は自発的な事は苦手だ。
目立つ事も苦手。

思い付いても行動出来ない。
やりたい事も後回し
大事な決断は怖がって
ほとんどの人はつまらない人生を歩んでいる。

そんな人達を巻き込める程大きな渦を作りたい
そんな人達の細やかな楽しみの一部になれたら嬉しい。
そんな人達の行動を少しでも変える材料になりたい。

僕は自由に生きている。
仕事はしてるかしてないかわからない。
大した仕事もしてない

生きてる事が仕事みたいなものだ。
楽しい事ばかりしていてお金に困った事はない。
人に困った事もない。

"この仕事を始めてずっと夏休みのような感覚だ"

そう言ったら少し叩かれたけど、
全く知りもしない人の頭の中に僕を住ませる事が出来て嬉しい。

僕を指名してくれる人は
一生懸命誰かに尽くし続けて疲れた人が多い。

騙されるのは疲れました
って感じの人。落ち着きたい人。
居場所が欲しいんだよね?

誰かに自分を捨ててまで一生懸命になれるのって凄いと思うし、尊敬する。

尊するけど、疲れる事もあるよね。
砂漠を水なしで歩くと干からびるんだよ。

思い当たるふしがある君は
少しだけ会いに来て。




僕にとっての"色恋"って
"嘘で好きなフリをする事"
じゃなくて
"好きになって貰う為の努力"
だと思ってるんだ。

"好き"
にも種類があるよね
恋愛、家族愛、友達愛、信頼、憧れ、

君が欲しいものになれるように努力したい。

僕のこと
好きになぁれ、
好きになぁれ。

『ご指名は、あめさま。』で。



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おはうよ、歌舞伎。016





雨の降る夜が好きだ
濡れた服が身体に密着して、
外の気温と身体の体温がシンクロして鳥肌が立つ。
気温から自分を守る物がなくなる。
風、雨粒、音までも全身で感じる事になる。

風邪をひいてしまいそう


僕達の世界の日常に、当たり前なんか無い事を教えてくれる。




微かな光もない暗い夜が好きだ。
孤独を感じる。
手を伸ばしても何も掴めない。そこには未来もないし温もりもない。

人の体温も感じない。

どれだけ普段人と関わりがあって、仲良い友達が居ても、好きな人が居ても

真っ暗にしたら等しく一人だ。
人は一人で生まれてきて一人で死んでいく。
誰に囲まれて生まれても、生まれるのは一人ずつだし

誰と一緒に死んでも、死ぬときに見える景色は自分にしか見えない。


人は何かを共有するのが好きだ。
花見、酒、食事、仕事。
でも、本当の意味で共有する事は出来ない

同じ場所に居ても、同じ景色が見える事はない。

視点も違えば、感性や考え方、
受け取り方が違う。

正解なんてないんだ。


僕は楽しい事をするのが好きだ
きっと嫌いな人はいないだろうけど、
人一倍楽しい事が好き。

我慢が出来ないんだ。
世間とか社会とか
人の目なんてどうでもいい

"自分が今楽しいか"が最優先
僕の夢は
うどんが食べたいと思った日に香川県に行き、
ラーメンを食べたくなったら九州に行き、
魚を食べたくなった瞬間に北海道に行き

クロワッサンを食べるためだけにドイツへ飛び、
パスタを食べたい日にはイタリアに行く事だ。

実際、今の僕にはそれが出来る。
"お腹減った、イタリア行こう"
"パン食べたい、フランス行こう"
そんな日々を過ごせる生活をしている。

羨ましがられたい訳じゃない
皆誰でもこんな生活はできる。
やらないだけだ。

ケータイなんかあるから皆不幸になる。
身体がジャンキーになってるんだ。
小さい小さい幸せを養分のように吸わされてるせいで
本当に大事な幸せを見えなくさせられてる。

小さい画面で少し面白い動画を見て満足して
自分が面白い事をする事から遠ざかっているんだ。

ポテトチップを一袋あけたら一袋空くまでずっと食べてしまうのと一緒。
美味しいのは3枚目までであとは惰性なのを君は知ってる

惰性

惰性で生きてる。

小さい依存
動画サイト、SNS、撮っても見直さないカメラロール
面白くもない配信アプリ

動かなくても満たされる
料理しなくても食べれるポテトチップスと一緒だ

本当に美味しいもの
本当に見たい景色
本当に歩きたい世界を

僕は忘れずに生きている




僕は一人だ。

人に合わせる気なんてない
ホストとしてはどうかと思うし、仕事も出来てないかもしれない。

でも僕が楽しいと思う事を
楽しいと思える人が居たら一緒に居たい。

僕が見たい景色を
綺麗だと思える人が居たら
早く出会いたい

僕が歩きたい世界を
一緒に歩いてみたい
って人が居たら連れていきたい



クロワッサン食べたいから今からドイツ行くからついてきてよ。

そういう世界線で生きていこう
本当はケータイなんか置いて行きたい。
写真はケータイじゃなくてカメラ買って撮ろうよ。

限りがあるから美しいんだって事を胸に刻んで。

[撮影 海月あめさま。]

僕のこと
好きになぁれ、
好きになぁれ。

ダメ?


『ご指名は、あめさま。』で。


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おはうよ、世界。

癌で入院していた
1年前の2019年6月19日

僕の手術の日

-AM4:00-
最後のシャワーを浴びる。
手術中に死んだら本当に最後になる。

別に怖くはなかった
何度も言うようだけど
後悔する生き方はしてない

もし死んだら手術前日からご飯を食べれなかった事が少し悲しい
それくらいの気持ちで

唯一口に出来る塩水を飲んだ。

「頑張って下さい」

色んな人から連絡が来た
親類、職場の先輩後輩、
女の子達、友達、
病気を知ってる人達

何もがんばる事は無い

麻酔を吸って

"起きたら終わってる"

もしくは

"起きないか"

それだけだ。


-AM6:00-

看護師が入ってくる
しばらくICU(集中治療室)に入るからそれに必要な荷物の準備だ。
神経質過ぎる僕は自分の部屋に他人が入ってくるのはとても苦手だ。

また塩水を飲む。

-AM7:00-

車椅子に乗せられる
車椅子を押す看護師と
荷物を持つ看護師2人
4人で部屋を出る。
少し違和感のある光景がエレベーターの鏡に写る。
もう塩水もない

ICUの階に来た。
緑の床。
他の階は白かアイボリーのような色なのに
ICUは緑っぽい
医療ドラマで見る光景だ

-AM7:30-

水色のネットを頭に被る

顔の真ん中に癌の腫瘍があるので
鼻からメスを入れて顔の真ん中をくり抜く手術だ。

 手術中、腫瘍の形によっては顎を外すかもしれないし
頭蓋骨を開くかもしれない

そのために1メートルある髪をバッサリ切ったんだ

勘弁して欲しかった。
そんな話は聞きたくない。

どんな手術でも勝手にすればいい
意識ある所で僕に言わないで欲しかった。

-AM7:45-

手術台に乗せられる
寝心地は最悪だ。なんだこのマット。

「怖くないですか?」
医者に聞かれた
『全然怖くは無い』

本心で答えた
全然怖くは無い。
怖くは無いけど生きたいとも死にたいとも思ってなかった
無心。
修行を積んだお坊さんでもなかなかこの境地にはたどり着けないだろう

もう僕に心はなかった。
何一つ欲望もない

『麻酔入れますよー息をゆっくり吸って下さいね』

ゆっくり息を吸う
体感6秒くらいで意識がなくなった。
(おやすみ。)

自分にそう伝えた



















目が覚めた。真っ暗だ
生きてるんだろうか

ピッピッと心電図の音が聴こえる
カチャカチャとキーボードを叩く音
病院の音だ。

(生きてるのか…)

嬉しくも悲しくもない
何の感情もなかった。

身体を良く見たら信じられない程管が繋がれている
服とベッドには血が付いている

嫌な感じだ。
手術前より憂鬱になった
しばらく目を開いていた

女性の看護師が三人くらい
暗い部屋の中で事務作業をしていた。
キーボードを叩く音
紙をめくる音
あまりよく見えない

「起きましたか?」

一人が気づいて近づいてくる
『うん…』

喋ろうとしたら喉になにかつっかかっているようだった。
今は何日の何時なんだろう

喉が乾いて死にそうだ、苦しい。
唐突に戦争の事を考えた

大怪我をすると水を求める

大怪我をした人はこんな気持ちだったんだろうか

焼けるように喉が乾いて仕方ない
『お水…』
笑うくらい小さい声で頑張って伝えた

「少し待って下さいね」

看護師は飲み物を与えていいか医者に確認を取りに行った。
しばらくすると
「ゆっくり飲んで下さいね」

プラスティックのコップに1/3ほど入った水をベッドのテーブルの上に置かれた。

少なすぎる
喉が乾いて死にそうなのに
一口で終わりそうな水

震える手でゆっくり飲んだ

血の味がする。最悪だ。

喉の乾きは全く癒えない
言葉の通り地獄のようだった

『水を下さい』

何度も看護師に伝えた

「一気に飲むと良くないので」

と、コップの中に氷を三個入れてくれた

「口に含んでゆっくり舐めて下さい」

氷を口に入れる

ほんの少し乾きが癒えるような気がした
でも氷はすぐ溶けてしまう
溶けたそばから喉が乾いて仕方ない

砂漠の砂に水を与えるようだ
落ちた瞬間から乾いてしまう

何度も氷を貰って口に含んだ
起きてるのが辛い、少し寝よう。

氷を咥えて目を瞑って少し
氷で当たり前に口が痛い
眠れる訳がない。

それでもしばらく無心でいた
目を覚ましてることに疲れた
身体がふわふわしてきた
夢と現実の境目みたい
何人かの医者が僕の状態を見に来た。笑顔だった
手術は成功したんだろう
医者にとっては嬉しいはずだ。

ボロボロの僕に嬉しいという感情はなかった。


「歯磨きしてください」

看護師が僕の歯ブラシをくれた。
歯ブラシを口の中で動かす
2歳児でも出来そうなこの作業がきつい

歯を少し磨いて唾を出した。
血だらけだった
歯ブラシも真っ赤になった

何回か口をゆすぐと
薄いオレンジくらいになった

「お食事出せますけど食べられますか?」

『はい』

即答で答えた

しばらくして食事が運ばれた
べちょべちょの緩いお粥と
に海苔のつくだ煮。
野菜スープのようなもの。
ミキサーに掛けられていて原型はわからない

一口食べた
美味しい。
目が覚めてからやっとまともな感情が生まれた
震える手で出来るだけこぼさないように食べた
実際はだいぶ こぼした。
身体が思うように動かせないし口にも力が入らない
それでも今の自分にある全ての力をふりしぼって食べた。
味のする物を口に入れる事が嬉しくて急いで食べた。
泣きそう。

思えば手術前日から塩水しか飲んでない
手術日はもちろん何も口にしてない
今が何日の何時かわからないから食べ物はどれくらいぶりだろう


そんな事を考えてたらいつの間にか完食していた
おかわりが欲しいくらいだ。

でも気づいたら疲れて寝ていた。













起きたら自分の病室だった


看護師にケータイをとって貰った。


6月21日の朝だった

手術が19日の朝だったから
丸2日経ったのか
時間の流れがわからない

"手術成功しました"

店のグループラインに書いた
闘病アカウントにも書いた

ケータイを触る体力もなかったのでそこからしばらくは触ってない。


-------------------------------------------------------------------------


手術が終わったら
「治ったんですね」
とか
「良かったですね」
とか言われる

でも何にも元には戻ってない。
体力は落ちたし、治っても激しい運動は駄目。
嗅覚は一生戻らないしご飯は味気が足りない
心も少し落ち着いてしまってアドレナリン出るような映画を見ると少し疲れる。

老人になってしまったようだ。

「普通の癌は5年生きれたらまずは安心だけど、
貴方の病気は3年以内に90%の人が亡くなります。

頑張って三年生きましょう」

と、担当医に言われたのが1年前の今。


時は経って最近

病院に行った。

「この病気で1年生きれた事は凄い事だ。
お祝いした方がいいですよ。」

担当医が本心で言った事がわかる。
その先生が以前手術した同じ病気の方の中でも亡くなってる人がいるのを知ってるからだ。

3年以内に90%死ぬ
そう言われて1年が経ち

"あと2年以内に90%の確率で死ぬ"

に、変わった。

好きに生きようと思う。
今まで以上に。

楽しい事をしたいから体力作りに運動を始めた。

始めたはいいけど2~3日運動をしたら1週間体調を崩した。弱い。

楽しい事をしたい

体力を戻せたら何をしようか。


僕は目の前の人に楽しいを出来るだけ提供してきた。共有してきた。

もし、過去に少しでも受け取ってくれた人がこれを読んでるなら

少しだけ、今の僕に"楽しい"を下さい。

僕と会って作った思い出や
楽しかった話を僕に話してください。

会える人は会いに来て下さい。

会えない人はDMでもリプでもラインでも飛ばして下さい。
"1年生きれておめでとう"って
今日だけでも思ってくれたらいいな

昔会ってたけど今は会ってない人
これを読んだなら
少しだけ思い出してくれたら嬉しい。

僕と居た時、楽しかったでしょう?
君が笑う時間が増えるように毎日考えていた。

僕はそれが楽しかった。

全ての出逢いに感謝。


海月あめさま。/海月希美。

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おはうよ、歌舞伎町。015

手に届きそうで届かない物は眩しい。
物でも星でも一緒だ。

もちろん人でも。

手に届かないとわかってる物は綺麗だけど儚い。
それでも遠い遠い星に手をのばしてみるような君は好きだ。



手に届く物の魅力は中毒的だ。
ファストフードのパサパサのハンバーガーを手に握ると小さい満足感は得られるけど届くかわからない綺麗な星に伸ばす分の手がなくなってしまう。

星に伸ばす事のなくなった手は明日はも身近な物を探してしまうだろう。

届きそうで届かないものも届いた瞬間に別の物になってしまう。
ケーキが食べれるだけで364日、
誕生日までうかれていた子供の頃にもし毎日ケーキを食べれていたら
誕生日なんて楽しみでもなんでもないように、人類は幸せになれない。



幸福も続くと当たり前になってしまう、
慣れてしまうからだ。毎日食卓に並ぶケーキのように。

毎日好きな物を食べたい夢を子供の頃に抱くのは、それが叶わなかったから。


人は幸せになれない。

飽きてしまうからだ。
お菓子はいつだって最初のひとくちがいちばん美味しい。

そのお菓子の名前は「恋愛」だったり「夢」だったりする。空の匂いがする_。

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おはうよ、歌舞伎町。
今日は久しぶりにホストの話をしようかな。

最近病気の話ばっかりだったからね。笑っ。


聞いてくれる?

君じゃない大事なひとの話をするからちょっと嫌な気持ちになるかな。
聞きたくなかったら途中で言ってね。



さて、僕はホストを始めた。
2018年の10月末から…
そうだね、その話はしたよね。

でもここからは、まだ話してない、

ある女の子の話。

その女の子は僕の四人目のお客様。
って言っても、前3人はホストになる前からの付き合いだから、この仕事を初めてからはひとり目の女の子なんだ。

僕が入ったばかりのアテナってお店には、

社美緒(1200万PLAYER)
草摩由希(現4200万PLAYER)
椎名麗人(現2800万PLAYER)
神宮寺楓(現1100万PLAYER)
高川レオ(現1400万PLAYER)
南ルカ(現1600万PLAYER)
粟谷麦(現2500万PLAYER)
朔夜恋(現1000万PLAYER)

(現と言うのは2020年現在の最高売上で当時は違った人もいる。役職は今と違うので省略)

っていう化け物揃いのナンバー陣達と、
ホストに憧れる全然売れてないその他20人(僕含め)
っていう風に完全に二極化していた。

それはそれはもう、同じ店で働いてるはずなのに全然違う。まるで売れっ子の芸能人とその裏方のスタッフやアシスタントくらいの違いはあった。


僕はそのアシスタントみたいな存在で居たくなくて一生懸命お客様を呼んでいた。 
初めて出勤した日から同伴した 
"あいつは新人の中では違う"って思わせたかった。 

出来るだけ毎日来て貰えるように頑張った。
 2~3日に一人は来てくれた。 

10月はあっというまだった。 
11月もただひたすら知り合いという知り合いに声をかけてお店に来て貰った。 
それでも2~3日に一人だしお店で掴んだお客様じゃない。 
ただホストになった僕をちょっと見に来てくれただけの知り合いだ、お客様とも呼べないかもしれない。 
 
それでも陽の当たらない場所に居る20人側、夢は夢のままで消えていく人達側に入りたくなかったんだ。 

 ー僕は違う、ちゃんとやりたい。ー
 人と話すのが苦手な僕はひたすら先輩のヘルプについて下らないバカ話を一生懸命した。
 多分面白くなかったと思う、全然面白くなかった。 

でも一生懸命話した。 

一生懸命笑って一生懸命大きい声で相槌をうった。
全員のヘルプについた
売れてる先輩全員の。正直仲良くない先輩も居たけどそんなのどうでもいい。

ただひたすら嫉妬した。自分より売れてる事、自分より愛されてる事、自分より楽しい話ができる事が悔しくてたくさんの先輩の女の子と話した。

話は相変わらず下手だったけど気に入ってくれる女の子が出てきた。ちらほらお客様も呼べるようになった。入っては消えていく大量の未経験新人の中ではダントツの売上だ。

それでもナンバー陣はその10倍売上があった。意味がわからない。
こんなに頑張って呼んでるし来て貰ってるのに嫉妬するナンバー陣との差が埋まる事はない。
ただ下を少し切り離しただけ。

初回の女の子ともたくさん話した
黒髪を腰まで伸ばして紫のドレスを着て出勤していた僕はすぐに覚えられた。

楽しく笑ってくれる人もいた、
手を繋いでくる子も居たし、抱いて欲しいって言ってくる子も居た、それでもお客様に指名される事はなかった_

ホストを始めて1ヶ月お店でできたお客様はいない。 



11月後半、寒くなってきた。 

10月のナンバーは53人中22位だった。 
って言っても全然売れてない。
 僕より上は売上表の桁が違う
売上表を見て力の差を感じながらアシスタント役に相応しい皿洗いをしていた頃、初回で送り指名を貰った。

 送り指名っていうのは、その日話したホスト約20人の中で一番気に入った人に店の出入口まで送ってもらう指名って感じかな。

 少なくとも僕はその子の中で今日いちばんお気に入りになれたんだ。 
うかれて席に戻った。名前はMちゃん。 

僕「送り指名してくれてありがとう!めちゃくちゃ嬉しい!なんで選んでくれたの?」 

M「え、他の人あんまり覚えてない!いちばん楽しかったから!」 

僕「僕も今日で今がいちばん楽しいよ!もう少し一緒に居よう!」 

M「ごめん、今日は帰らなきゃいけないの。また来るね?」 

僕「そっかぁ、わかった、(絶対こない時の返事だ…)」

 また来る、来れるとき連絡する、行けたら行くは、街で段ボールを持って募金活動をしている人くらい信じられない。

 高揚感は僅か5分で消えた。
 一応毎日連絡した。他の人にもそうするように。 

来ないとわかっててもちゃんとその子の話を聞いて、しっかり考えて返信した。
 他に担当が居るらしい。帰らなきゃいけないのはきっとその人に会いに行ったからだね。 

数日後、

 M「今日店にいる?」って連絡が来て、

 僕「居るけどなんで?」 

って返したら連絡が帰って来なかった。
 冷やかしか。 


20時、

21時、

22時、 連絡も君も来なかった。 

23時、もうすぐラストオーダーの時間だ。 

《海月あめ、海月あめ、キャッシャーまでお願いします!》 



 君が居た。 


少し酔っ払ったMちゃんがそこに来ていた。M

「居たんだー!居なかったら帰ろうと思ってたのに!」 

 僕「いや、居るって返信した…」 

M「そうなの!ごめん!見てなかった!」 

僕(見 て な か っ た ! ?) 

そこから僕と君との時間が始まった。 。
 粟谷麦さんが良くお客様を通す席に案内した。細やかな憧れの気持ちが表へ出てしまったのかな

ヘルプ「お飲み物はどうされますか?」

 M「カロリのぶどうとアスティ下さい!」 

 ヘルプ「かしこまりました」 

 僕「え?」 

M「アスティなんかジュースだよね、ジュースでごめんね?」 


説明するけどアスティはうちの店で小計4万円するシャンパンだ。
 タックス(サービス料)の計算は複雑だが簡単に計算すると1.5倍 

約6万円のお酒だ。 

カロリと席料とかを合わせると約10万前後ってところか。 

そんな金額見たことない。
 だってあと一時間ちょっとしか居れないんだよ? 
それを君はジュースでごめんねって言うの?
どんな人生歩んできたの? 

カロリが運ばれてきた。 

シャンパンコールの曲はどうしますか?
 って聞かれた。

 僕「何がいいかな?」

 M「あめちゃんが決めて!」 

僕はこのシャンパン一本目の気持ちを深く深く心に刻もうと思った。忘れたくないから。
 
「GACKTさんの、"忘れないから"で、お願いします。」

 化け物揃いのユグドラシルアテナに、初めて僕の為だけのシャンパンコールが流れた。
 心臓の動きが速すぎて時が止まったようだった。 
普段は背中しか見えないような先輩達に取り囲まれたその時だけは
世界の主人公は僕とMちゃんだった 

僕「初めてのシャンパン、ありがとう。幸せすぎて嬉しすぎて、この気持ちと記憶を忘れたくないから、曲を「忘れないから」にしました。これからもよろしくお願いします。」 

そういうと君は少し泣きそうな顔で笑った。

 あとから知ったんだけどこんなに喜んで貰ったこと今まで無かったんだって。バカみたいだよね、営業的にどうしたら一番良いのかなんて思いつかなかったよ、嬉しすぎてそれどころじゃ無かった。 

シャンパンは君と僕で全部飲んだね。 

南ルカさんによくシャンパン飲まされてた(訂正、飲ませて頂いてた)けど自分の為に入れて頂いたシャンパンがこんなにも味が違うって事に驚いたよ。ルカさんに頂いたシャンパンもおいしかったけど、自分に入ったシャンパンは次元が違った。 

 捨てていいよって君は言ったけど気づいたら飲み干してたね。 
 ありがとう、嬉しいのセリフだけで、残り一時間が終わってしまった。プロ失格だ。

 閉店時間になる前に、君はさっと帰った。お会計は10万円くらいだった。 
全部現金で払ってくれてお釣りはあげるって言われたけど僕はそれをそっと返した



アフター(閉店後に会うこと)は、無かった。 
Mちゃんが好きなのは僕じゃなくて他の人だから。 

僕は癒しって感じかな。相談役とか、そんな感じ。
 毎日好きな人の話を聞いてた。

 そして3日後、また酔っ払ったMが来た。
 担当の店を出てきたらしい。
 僕は担当の話を聞いた。

 最近冷たいんだって 
何にもしてくれないって 

 僕は思った

   I know I can Treat your better
 (僕ならもっと君を大事に出来るのに) 

そして寂しくなったんだ。 
寂しいねって二人で話した。 
君はまたシャンパンを開けてくれた。 
僕はそんなの望んでた訳じゃないのに。
 Mが来店するペースが安定してきた。

 3日に1回 
会うたびに少し寂しそうな顔。 

担当に何されてるの?そんなに寂しい顔にする相手に毎回会ってるの? 

僕に会いに来る度にシャンパンを開けてくれた。 

「今日もジュースでごめんね?」って言いながら。

 月が終わりに近づく頃、 
社美緒会長が出勤してきて売上表を見た。 
 
「海月あめって誰?現金でこんなに売ってる!すげーじゃん」 

 「僕です!頑張ります!」

 「ん!いいね!じゃあよろしく」 

そう言って去り行く美緒会長の足をひき止めてこう言った 

「美緒さん待って下さい!僕、ナンバー入ります!」 

 「ん?わかった。やれよ!」 

11月が終わった。
 僕は入店1ヶ月半でナンバー12になれた。
 化け物みたいに売れてる人達と肩を並べられた。 

12月君は泣きながら店に入ってきた。

 担当を切ったらしい。 

僕の願いが叶ったのかもしれない 
君を悲しませる人が居なくなって良かったよ。
  
シャンパンを2本開けた。
いつもよりさらに美味しかった。

 僕は2番目の男から1番目の男になった。 
これから僕の事だけを見てくれるらしい。 
シャンパンを飲みながら君がプレゼントをくれた、キラキラの腕時計だ。 

黒と白、2本ある。

 「安いのでごめんね、見た中では1番高かったの。黒と白、好きなの選んで?」

 僕は少し悩んだ。どうでもいいがその時のヘルプはアルテミスの朝日奈優だった。(どうでもいい)  

両方腕につけてみて、僕は白を選んだ。
 
君は黒、お揃いだね。 
二人でキラキラした腕時計をしばらく眺めた。 
 
2番目の男から1番目の男になったから、
君は初めて時間に拘束されなくなったから営業後に高級寿司屋に入った。

 M「いつも優しくしてくれてありがとう!今日はお返しだからおごりだよ!好きなの食べて!」

 お礼ならいつもされてるのに、毎回シャンパン入れてくれてるじゃん。 


君と食べるご飯は美味しかった。 
たくさん写真を撮った 

その日から営業後は時々会うようになった。
休みの日もたまに会うようになった、悲しい顔の君を見なくなって嬉しい。 

僕といる時はいつも笑顔だね 

12月後半店休みの日僕は車を借りた。 

行き先も告げずに君を乗せて車を走らせた。ドキドキしてる君を見るのが幸せだった。 

M「どこ行くの?」

 僕「まだ決めてない!どこにしよっか。笑っ」M

「えー!決めてないのー?」 

ーそんな訳ないだろ、本当は決まってるよ。ー


ーずっと考えてたんだよ  ー


東京を出た。
君は驚いた

 「ほんとにどこまで行くの?」 

「僕と居るならどこでもいいでしょ?」

 「うん」

 場所は伏せるけど、
ついた先は地面も建物も虹色に光ってた。 

イルミネーションだ。

 メリークリスマス、M。


 たくさんはしゃぐ君をずっと見てた
 イルミネーションの階段を 

ミュージックステーションごっこしながら降りた 「今夜のゲストはぁ、若者のカリスマシンガーMー! 」ってアナウンスしてあげた。

 死ぬほど写真を撮って一緒にご飯を食べた。
 バカだから12月の夜中なのにイルミネーション見たさにテラスで食べて寒くて味がわからなかった。それもいい思い出だね。


二人のクリスマスが終わった。 
クリスマス楽しかったねで、この先数回分の会話が埋まるほど楽しかった。 


1月、君が他の女の子に嫉妬するようになった。 

当然か。

 それでも、君は店に通ってくれてシャンパンを入れ続けた。 

ある日、シャンパンコールのマイクで君が言った 


「私の前以外では私の腕時計外してても好きです!」 


 気づいてたんだね。 

普段アクセサリーを全くつけない僕がいきなりキラキラの腕時計をつけてたら僕のお客様は気づくよ。

 他の女の子に自分で買ったって嘘もつきたくないし、貰ったって言うのも嫌だったから、君と僕と居る時だけつけてたんだ。

 僕は悪い人かな? 


2月、草摩由希社長が店を出した。
ユグドラシルアルテミスだ。

 Mちゃんはついてきてくれたが、オープニングメンバーである僕は忙しくなった。

 新しく出来た店を混ませなきゃいけない。 

ちらほらお客様も増えてきた。

 君がまた悲しい顔をする日がきてしまった。

 しかも今度は僕が原因で。 


君と居る時間が減っていく反面、僕は絶好調だった次々に初回の女の子は僕を送り指名にしたり飲み直し(初回で飲んだあとそのまま指名)してくれた。初回が4組きて全員僕が送りだった日もある。 
シャンパンもMちゃんじゃない女の子もどんどん空けるようになった。Mちゃんは飲む酒の量が増えた。


 シャンパンの金額も上がって行った。ラストソング(その日の売上ナンバー1)はほとんど僕だった。 

僕がラストソングを取れない日はMちゃんが騒いだ。 

2月の終わり頃 

Mはそろそろ貯金がないって言い出した。
店に来るのがきつくなってきたって。

 そっか、でも無理しないでって僕は答えた。 

当時の僕はこう答えたけど今でも難しい 

無理しないで と
無理してでも会いに来てよ と 

どっちが正しいんだろう。 

人間的には"無理しないで"が正しいけど 

"無理してでも会いに来て"って言う方に女の子はついて行きがちだよね。 

3月、

Mは夜職を始めた。


職種は想像に任せる 

その事を営業終わりに話してきた、 

僕は、

「そっか、大変だね、きついね。」 

って優しく言った。 

Mは「なんでそっかなの!?なんできついなら夜辞めろって言ってくれないの!?だってわたし…」 



 失われた言葉が君の唇の上で震えた

 今話してる相手がホストだって事に気づいてしまったんだ 


僕は僕にできる全力で君を大事にしてきたけど、それじゃ補えない何かがあったみたいだ。 



君がほとんど会いに来なくなった。 

君が最初のエースだったけど 

悲しいくらい売上が下がらなかった 
君に使うはずの時間と気持ちを他に僕を大事に思ってくれてる人に使ったからだ。

 売上は下がらなかったけど失くしたものは大きい 


僕ならもっと大事に出来るのに 

そう思ったのに傷つけてしまった事が悲しい


 やっぱりお金だけの関係じゃ無かったんだよ。 


今でもシャンパンコールは 
GACKTさんの「忘れないから」だよ。


 最初の一本目のシャンパンの喜びと目の前の人を大事にしてきた事を「忘れない」ため。

 こういうと今通ってくれてる女の子が嫉妬するかもしれないけど、感謝の気持ちに慣れないため、
一本一本のシャンパン
 一人一人の時間を胸に刻みたいから 

初心の気持ちを忘れずに僕を大事に思ってくれる人を大事に思いたいから



---------------------------------------------------------------------



人は幸せになれない 

幸せに慣れてしまうから。 

って最初に話したけど

本当は人は幸せになれるよ。

「慣れない事。 」
「最初を忘れない事。 」

ケーキを365日連続で貰っても、 

ケーキなんて食べれなかった日を思い出す事。

 あの頃はなかったのに今日貰えた!昨日も貰えた!一昨日も貰えた!幸せ! 

って自分を思い出す事。

 絶対に慣れたくないね。

 僕は覚えてるよ。

君が忘れてもね。 







 そんな感じ。


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おはうよ、歌舞伎町。番外編

ぼくは孤独でウソつき
いつもユメばかり見てる
君は気づいてないふり
だけど それでも抱きしめるんだ

まるで吸血鬼みたいに 君のやさしさを
吸い尽くしてしまう気がするんだ 

ひとつ 終わらない悲しみが
ぼくらを包み込んだら
抱き合って 朝を待とう

いつか なおらない傷跡も
ぼくら許せるのかな
あの頃と 変わらない笑顔で… 

「真夏の夜のユメ/スガシカオ」より


おはうよ、歌舞伎町。

おはうよ、歌舞伎町。
ずっと前から何度か話そうとしてた話なんだけど

ずっと昔だとは言え
身体を売る事に否定的な話だった頃の話だったから
言い出せなかったんだ。
色んな人に色んな正義と世界がある。
今の僕は君の全てを受け入れる経験と心の広さがあるけど
その頃の僕は…


16歳の夏だった
折り畳みの青いケータイを初めて持って約1年
メルマガって知ってる?
メールマガジン。
主に企業やサイトの宣伝が定期的に送られてくる、あれ。

あれを一般人でも配信したり定期講読できるサイトがあった。
自分が書いた日記がメルマガ登録者にメールで届く感じだ。

僕はメルマガ配信者一覧を見た

□趣味でアクセサリーを作っています。無料購読

□旅と私と時々雑談など…無料購読

□君が居なくなってから前に進めない少女


3番目の明らかに他のメルマガ配信者とは違う雰囲気の紹介文。
登録者も多かった

僕はその紹介文が気になり購読ボタンを押した。
下心もあったかもしれない

プライバシーの為に
メルマガ名は伏せる
配信者の名前を、仮に
悠 とします。

悠 から
1週間に1通ほど
不定期でメルマガが届いた

------------------------------------------
また、身体を売った
知らないおじさんに声をかけられて。
わかっててついて行ってみた。

でも何も感じない。

安くなったなぁ
14歳の頃
初めて下着を売った。嬉しかった
15歳で初めて知らない男の人とデートしてお金を貰った。

16歳で身体を売るようになった
あの頃は高く売れたし、それが嬉しかった。
傷つくこともあったけど
それでも良かった

あれから何年経った今も同じ事してる

君が居たらどう思うかな

ねぇ
私の時間は止まったまま。
君が死んでから。

   悠

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内容はこんな感じ。
僕は泣きながら衝撃を受けた
そういう人がいることを
考えた事もなかった。

僕は16歳、彼女が出来た事もない。
女性経験もない。

女友達は何人か居るし
同級生女子は身近にいるけど
そんな若い年齢の人が
身体を売ったり好きな人を失くしたりしてる世界があるなんて思い付きもしなかったんだ。

まぁ僕は当時から僕で
人より派手な服を着てたし、好きなものも特殊だし、一人行動が多かったけど

心は純粋だった。
そしていつも死にたいって思ってた。
楽しい事なんてなかった

家も学校も楽しくないし
お金がある訳でも自由がある訳でもない。

なんにもなかった
よく遊ぶような親友もいなかった

自分に価値なんてないと思ってた。
だから誰かの何かになりたかった。
なんでもいい
生きる理由とかじゃなくても
一緒に居たら笑える存在とか
落ち着く存在とか

誰かに思ってもらう事を夢見てた

ニュースを見るのが苦手だった
誰かが自殺したり、殺されたりするニュースに耐えられなかったからだ。

僕がそこに居たら助けてあげられたかもしれない
僕が関わっていたら自殺を考え直したかもしれない

あるいは
僕が身代わりになっていれば…

ごめん、ごめんね
って
ニュースを見るたびに思っていた。
何も出来ないくせに。

何も出来ないよ

学校 家 年齢 
免許もお金もない

誰かを助けに行く事なんて出来ない。
君と知り合うまでは。

メルマガにはコメント出来た
配信者とメールできるわけじゃないけど
僕が送ったコメントは配信者にだけ届く。



何も出来なくない!


悠からメルマガが届くたびに
僕はコメントを1通送った

悠は、酔ったり、身体を売ったり、男と一夜を過ごしたりするたびにメルマガを書く

僕はそのたびにコメントを送る
身体売るのやめなよって言ったり

笑わせようと変な事言ったり

自分の日記を送ったり

もっと詳しく知りたいって言ったり…

今夜職をやってる僕からしたらいちばんめんどくさい嫌がることばかりしてたかもしれないけど、
当時の僕にはそれがわからなかった。
ただ、自分を傷つける行為をやめて欲しかったし、止めてあげたかったんだ。


返って来ないどころか
相手が読んでるかもわからないコメントをメルマガに返信し続けた。

何も出来なくない。
会いに行ったりは出来ないけど
こうやって話しかけることはできる
もしかしたら自分が何かしてあげられるかもしれない


馬鹿な僕は馬鹿なりにひたすら、それはひたすら…


配信者:悠
--------------------------------------
ああ
またしちゃった。
なんにもならないのに

でもどうでもいいや。




君が死んでからちょうど○年が経った

お参りしたけど

返って来ないんだよね

君の匂い、声、顔、全部
少しずつ薄れていくのが嫌でたくさん思い出す。

君と過ごした日々だけ
ずっと置き去りにされて

私はどうすれば良いの

たくさん知らない人に抱かれた
たくさん知らない人とキスした

楽しい事もあった

でもなんにも変わらない
あの時から私の時間は止まったまま
少女のまま…

なんてね。

     悠
------------------------------------------



返信

「好きな人が命日だったんですね、
きつかったと思います。
僕はまだ親戚以外の大切な人を亡くした事がありません。

それでも生きている悠さんはとても素敵たと思います。
自分を大事にして生きて行って欲しいです。
悠さんが身体を売るたびに心が苦しいです。
どうしたらいいですか?
辞めて欲しいです。心臓が止まりそう

僕が悠さんにお金を払います。
悠さんが身体を売って傷つかなくなるのなら僕は嬉しいのでお金なんてどうでもいいです。働いて毎月振り込むのでやめてくれませんか?」





今思うと本当になんて身勝手な申し出だろう。
失礼だし自分の為にしか考えられてない。
相手の気持ちを全く考えても聞いてもなかったんだ

10代の女性経験もない少年は
それでもせいいっぱい
誰かの何かになりたかった。
手の届く範囲内で不幸な事が起こるのを許せなかったんだ。

数時間後、1通のメールが来た。

空けたら、悠さんから
コメントへの返信メールだった
配信者用のサイトを通したアドレスで
悠自身のメールアドレスじゃ
なかったけど
そんな事はどうでもいい

連絡が返ってきた事が嬉しかったし、ドキドキして
十字キーの下ボタンをおしてスクロールした。


悠『
連絡ありがとう。
いつもコメントくれてるの読んでるよ、ありがとう。

身体売るのをやめてって言ってくれたの、嬉しかったよ

でも、お金が欲しくて身体売ってる訳じゃないんだ。
なんとなくな時もあるけど
必要な時もあるんだ。
お金じゃなくてね、その行為が。
自分の身体と時間に
価値がある事を確認したいの

だからこれからもやめないと思うし、したくないときはしないよ。

  』

僕の世界がまた大きく動いた瞬間だった。

お金の為じゃなく身体を売る人がいる

常識ってなんだろうね
無知って罪なのかな

人を救うつもりの僕は身勝手だったし
救えるかもしれないと思ったのは自意識過剰だし

逆に傷つけてしまったのかもしれない

その頃の自分に言えることは

相手の全てをまず受け入れる事。
否定しない事。
理由を考える事。

自分だってそうだ
僕にしか出来ない事とか
自分の中のルールとか
人には理解されない部分

たくさんあるけど
知らない人に否定されたら嫌だよね。

でも
一生懸命さは、良かったんじゃないかな。
そこだけは伝わったんだと思うよ。

今の僕は
人の全てを出来るだけ受け入れる事を意識できるようになったよ

だってほら
全ての人に欠点や辛い過去や傷や他人には理解出来ない気持ちがある。

もちろん僕にも。


16歳の僕と、今の僕
同じところは

誰かの何かになりたいところ。
でも、見て、16歳の僕。

僕が居ないとつまんない
って言ってくれる人、たくさん出来たよ。
男も女も
先輩も後輩も。

間違ってるか正解かわからなくても一生懸命
走ってきた結果かな。
たくさん大事な人と出会うし
たくさん大事な人が離れて行くかもしれないけど

そのたびに自分が磨かれて行くから。

君はそのまま一生懸命だったらいいんだよ。

僕は成長した

もっと成長する

これからもっと。

誰かの何かになっていくよ。

一緒に華やかな人生になろうね。


僕のこと

好きになぁれ

好きになぁれ

ダメ?

『ご指名は、あめさま。』で。




記事の全文へ

おはうよ、歌舞伎町。013

音楽っていいよね。

僕は今、音楽活動あんまりしてないけど
やっぱり心は音楽をいつも追いかけてるし歌詞とメロディの美しさに涙しそうになる。

冬だからかな?

ずいぶん昔に僕が作詞作曲した歌詞を置いておくね。

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●たび。 作詞・作曲 海月希美

「もう少しだけ、眠らせてよ」
と、つぶやく君に 微笑み返す

その寝顔で(僕は)満たされるから
『もう少し、おやすみ。』

どれくらい歩いたのかな?
レンガの街 手を繋いで
撮った写真 眺めたなら
電気を消そうか。

電車の音遠く聞こえた
話をしよう眠くなるまで
重ねた息 触れあう距離で
『起きる時間だよ』

「もう少しだけ眠らせてよ」と
つぶやく君に微笑み返す
その寝顔で(僕は)満たされるから
『もう少しおやすみ』

目を覚ましたら、どこまで行こう?
誰も居ない島で、黄昏れたり

広すぎる海を二人じめして
覗いてた猫に、あいさつをして。


目を覚ましたら、どこまで行こう?
桜舞う階段をかけ登り

青すぎる空に心奪われ
握ってた飴を服にこぼして

「もう少しだけ眠らせてよ」と
つぶやく君に微笑み返す
その寝顔で(僕は)満たされるから
『もう少しおやすみ』
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おはうよ、歌舞伎町。


ホストというお仕事。
今だに何かわからない。

毎日、好きって言われたり嫌いって言われたり。
信じてた人にブロックされるのも
知らない人にありもしない噂流されるのも日常茶飯事。

でも人間の本質を見れる仕事だとは思うね。
喜怒哀楽から、
悔しさ、痛み、寂しさ、愛情まで
全ての感情がさらけ出される世界に居る。
歌舞伎町は嘘つきの街って言われるけど

実は本当の街なのかもね。

普段、職場や人間関係で
上辺の会話、周りに合わせたり、ゴマすったり。
嫌なことを頼まれて笑顔で返事しなきゃいけなかったり。

噂をつきすぎて疲れちゃうよね
そんな疲れた人たちが正直になれる街が、
歌舞伎町なのかもしれない。


さて、
いつも言うけど僕は接客が得意じゃない。
誰がどう言おうと人間と会話するのは大変だ。
何が正解なのか未だに全然わからないよ。

いつかAIが接客し出したら大変だね

接客の才能は多分ないけど
その分人間観察が得意で

分かりやすく言うと良く観察した人なら自分の頭の中に何人も置いておく事ができる。

その人の思考回路がだいたいわかるって事。

例えば
我らが社美緒さんだったら
こういう時どう感じるだろう、考えるだろう、話すだろう
ってなんとなく先読み出来るということ。

美緒さんだったらこう話すだろう

ゆき社長だったら女の子をこう喜ばせるだろう

僕に接客を教えてくれた人ならこう接客して盛り上げるだろう


そうやって自分より格上の人をマネする事で少しずつ自分を磨けて来た気がするんだ。


だから僕は基本的に自分より技術が高い人とできるだけ一緒に居て観察、吸収するようにしてる。

だからって君の事を考えてない訳じゃないよ?

楽しい空間をお互いより楽しくできたら良いし、
君を喜ばせたい時より多く方法が思い付きたいし
君を笑わせたい時より多くの笑わせる方法を持ちたいんだ。




そんなことを考えてるうちにもう今年も最後の12月。


今年一年間は半分以上店をおやすみしてしまった。

原因は闘病ブログにも書いたけど
原因不明の体調不良で検査入院⏩原因わからず病院を転々と⏩癌⏩見つからなかったら半年から一年で死んでたらしい⏩手術⏩通院

4月からちょこちょこやすみはじめ
5月はほぼ休み
6.7.8月までまるまる休んで
今も月の半分くらい休んでる


そして

去年の僕の方が売上がある
って事態になってしまった。

病気のせいにはしたくないし
出勤日数と売上は関係ないと思ってる。
月の出勤が1日でもNo.1を取る事はできるはずだ。

過去の栄光自慢はしたくないけど、
月の平均売上が700~1000万円近い時期があった。



恥ずかしながら今は届いてない。

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「病気のせいだよ」
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って皆に言われるけど
病気なんかで下がる自分が弱かっただけだよ。

でも大事なのはここから
どんな実力あるホストだってずっと売れ続けた訳じゃない
売上が下がる事もある

どんな実力あるアーティストだってCDの売上が落ちる

どんなカッコいいハリウッド俳優だって売れない映画が続く事だってあるんだ

でも本当に実力がある人はそこから戻ってきてる。
大事なのは成功し続ける事じゃなくて

落ちても登ってくる努力と
転んでも立ち上がる力だ。

僕にはいい機会だ
ずっと売れてるより
落ちて巻き返せる方が楽しいに決まってる。

ハンデってやつ?

2019年は半分寝たから

2020年は寝なくても輝ける気がする。

今支えてくれてる人は
この先どれだけ人が増えても
[いちばんきつい時に居てくれた人]
って事実だけは変わらないから。

支えてよ。
いつか、じゃなくて、今。

そしてそれ以上に大事にさせてよ。


僕のこと
好きになぁれ、
好きになぁれ。

ダメ?

『ご指名は、あめさま。』で。














記事の全文へ

おはうよ、歌舞伎町。012

怖い夢を見た日々を覚えてる?

僕だけかな。
ちいさい頃、怖い夢ばかり見ていた
何かに追われる夢
歯が鋭い骸骨とか
幽霊とかモンスター

だいたい大勢の人が追われて逃げてるんだけど
僕だけ足が絡まったように上手く走れないんだ。
皆が逃げる中僕だけスローでどんどん追いつかれていく。
他の人を狙ってた骸骨も
足の遅い僕に狙いを変えるんだ

みんな、おいていかないで
だれかたすけて。

幼い僕は叫んだけど
声も出ないんだ。
誰にも聞こえないし、誰も振り向かない。

骸骨が僕に触れる
目が覚める。孤独感と汗
心臓の音が僕の内側からバクバク噛みついてくる。痛い。

僕は夢を見る少年だ。
いつか幸せになれるとも思ってない
ヒーローになりたかった
誰かを助けて自分が傷ついても
感謝されたり、その人が救われたならなんでもいい。

生きてる意味が欲しかったのかもしれない。

悲惨なニュースを見る度に何度も思った。
僕がそこにいたら命を救えたかもしれない。
寿命を伸ばせたかもしれない




君の事を笑わせられたかもしれない。





いつかも話したかもしれないけど、
『何か』になりたかったんだ
生きる理由?笑う種?
苦しみを分かち合う存在?
喜びを与え合う存在?

なんでもいい、
『誰かの何か』になりたかった。


おはうよ、歌舞伎町。

僕はまだ体調が優れないけど
心は凄く凄く洗礼されたよ
弱音は吐きたくないけど
正直苦しいし出勤した次の日の身体の重さは歩くのもきつい時あるよ。
『身体が動かないので今日は休みます』って言葉
何回我慢しただろう

自慢したいわけじゃない
偉いとも思ってない。

僕が『誰かの何か』で居たいんだって。

病気になる前より
接客も下手だし連絡も返さないし、売上も上げられてないし、同伴も遠出きついし。
頭回らないし、大きい声も出ないし、笑う時もちょっときつい。

でも、それでも来てくれるじゃん。

求めてくれる。
こんな弱った僕を。
会いたいとか、支えたいとか

今の僕より構ってくれる人
たくさんいるでしょ。

なのに選んでくれる。
選ばれてる間くらい
君のとなりで一緒に笑っていたいし。
一緒に夢を見たい

たまにきつそうな顔してごめんね。
すぐ、良くなるから。

こんな弱い所見ちゃったなら
もう少し着いてきてよ。

体調良くなった時にもっとたくさん笑いたい。
接客が下手くそな僕を見て笑ってよ。
夢を見るのと目立つのだけは得意だから
楽しい事をたくさん考えながら
君の足りない心のスキマを
僕が少しでも埋められたらきっと幸せ。


僕のコト
好きになぁれ、好きになぁれ。





ダメ?


P.S.
ちいさい頃の僕へ。

大人になった君は

だいたい欲しい物買えてるよ
行きたい所も行けてるよ
好きなものばかり食べれてるよ。

憧れてる人から褒められてるよ

求めてくれる人が居るよ。
笑ってくれる人がいる
安心してくれる人がいる

君が心からなりたかった
『誰かの何か』に、少しだけなれてるよ。

夢の中で、
あれだけ僕を苦しめたモンスターを
少しは倒せるようになったよ。笑っ


なんてね。

おやすみ。
記事の全文へ

おはうよ、歌舞伎町。【病気療養編:後編】

ねぇ

一人ぼっちの夜
なんの理由もなく寂しくなって
心のやり場もない中にふと見上げた空に輝く星達の煌めきは
僕達の心を洗ったり削ったり
時には尖ったナイフのように
強く痛みを与えてくる
空を見上げて目に映るものは
星じゃなくて自分の心なのかもしれないね。

曇りのない瞳の中
綺麗すぎる夜空を遮るように現れた流れ星
君はどんな願いをかけたの?

好きな人と付き合いたい?
結婚したい?
お金が欲しい?
夢を叶えたい?
消えたい?
死にたい?
それとも、 

生きたい?

どんな事を祈ろうと自由。
この世界を作ってるもの
「幸」も「不幸」も選べる
自分次第だ。



『流れ星って知ってる?』

君は知ってるって答えるかな

聞き方を変えるね

『『流れ星』って何か知ってる?』

ほら、答えにくくなったでしょ。君の負け。笑っ

じゃあ話すね

『流れ星』って
流れ星、流星、箒星、
色んな呼び方があるけど

大抵の人は隕石か彗星か星だと思ってるんだよね。

うん、わかるよ
僕は隕石だと思ってた。

でも
流れ星って
0.2ミリ~2ミリくらいの
小さな小さな砂かゴミなんだ

宇宙空間に漂う砂つぶ。

それを地球が動くたびに引力で引っ張って地球に落ちてくるわけ。

0.2ミリってわかる?
ボールペンの点の半分くらいだよ。
そんな小さな小さなゴミが
地球にいる僕達から
あんなに輝いて見える

わかる、信じられないよね。

でもね、そんなボールペンの点みたいな小さな粒でも
地球に向かって超高速で落ちてくるときに
大気圏に突入すると空気との摩擦で大きく発光しながら燃えるんだ。
それが、僕たちが言う『流れ星』

そして流れ星は空気中で燃え尽きてしまって、
地上に落ちてくるときには灰とか埃になってるんだ。

そんな小さな奇跡に
僕達が祈りを捧げるのもわかるよね。

砂つぶでもあんなに輝けるんだから

僕たちも全力で走ったら輝けるよね

なんてね。

君は生きてくれてるだけでいいよ。



おはうよ、歌舞伎町。

※この話には一部過激な発言やグロテスクな表現がある可能性があります。


この前どこまで話したっけ


嗅覚がなくなる所までかな。
そうだね、僕から病気の話をするのは
これで最後かもしれない。

出来るだけ弱音は吐かないようにしてたけど
本当に本当に本当にきちかった。
苦しかった。

いつか笑い話にできるかもしれないけど
今はまだ忘れてたい。

ここで話すのは、ある意味
全部さらけ出すことで
1回記憶をしまっておきたいから、かもね。

今日も面白い話はする事ないから
それでも知りたい人だけ、聞いてね。


匂いがわからなくなった時から
自分が自分じゃなくなった
自分が誰かわからなくなる時があった

今まで生きてきた中で
友達や知り合いが
自傷行為や、OD(薬品過剰摂取)や自殺行為をするのがとても嫌だった。



どうしてでも辞めさせたかったし、可能な限り止めてきたし
辞めさせる方法を知りたくて心理学の勉強までした
でも彼らや彼女たちは
僕がどんな努力をしても変わる事はなかった。

そう、理解してなかったのかもしれない。

構って欲しいだけで本当は死にたいなんて思ってないんだろうって
心の中では思ってたのかもしれない。

そんな僕が
手術が終わって匂いがなくなった日から
異常に病室の窓に魅力を感じるようになった。
高い病室から見上げる空を流れる雲は近く、
見下ろす地上はオモチャのジオラマのように小さかった。

死にたいなんて思ってなかったはずなのに
遠くなった地上がとても輝いて素敵なものに見えたんだ。

言ってる意味、わかんないよね



飛び降りそうになったんだ。



死にたいなんて思わなかったのに。
僕を魅了していた世界が色褪せてしまったせいで

初めて僕は自殺する人の気持ちを理解する事ができた。

こんなの、本には書けないよね
いくら勉強したってわかるはずなかったよ。
人は経験しないとわからない。
わかってあげられないんだ。

手術が終わった病院は
何のためにいるのかわからなくて辛かった。

さっきも言ったけど
自分が誰かわからなくなる感じ。

毎日血を何本も抜いて精密検査して、検査や治療があるたびに自分の名前を同意書にサインして。 



生きてるって言うより
閉じ込められて
実験されたり、飼育されてる感じがしたんだ。

食事と睡眠と検査
思いつくままに自由に生きてきた僕には牢獄みたいだった


いや、牢獄でも運動の時間や仕事の時間があるしある程度の自由はある。

スケジュール通りに動かなきゃいけない辛さは窮屈だった



身体が少しは動けるようになってきた時に

放射線治療の話を聞いた。



嘘だろ

って

「手術で全部綺麗に取れた」

って
言ってたじゃん。

放射線治療ってなに?
後遺症出るんでしょ?

嫌だよ。
僕からもう何も奪わないで


って思った。


癌ってね
治ったか分からないんだって

「分からないってなんだよ」

って話だよね。
でも

分からないんだって。

癌って細胞の病気なんだけど
悪い所を取り除いたからって

病気の細胞がなくなったかは分からないんだ。

人間って何十兆の細胞から出来てるから
それを一つ一つ顕微鏡で感染してないか確認する事って出来ないでしょ。

例えるなら
蜂の巣。

蜂の巣をまるごと処分したからって

女王蜂が出掛けてたら他の場所に巣を作っちゃうの。
癌ってまさにそんな感じで

癌の巣を切り取ったからって
細胞の一つでも血液に混ざって他の所に出掛けてたらそこから再発しちゃうんだ。

だからそれを防止するために
癌の近くの細胞を焼き殺すんだって。
それが放射線治療。


僕の巣は鼻だったから
鼻の周り

顔の半分くらいの面積の細胞を焼き殺す事になるらしい。

『ごめんなさい、嫌です』

僕は初めて治療を断った

「再発したら顔焼くより大変だから放射線治療しとこう」

『放射線治療しても再発しない訳じゃないんでしょ』

「そうだね、でも再発の確率は下がるから」

『嫌です。』

「わかった、考えていいから、まず放射線治療課に言って詳しい話聞いて下さい」

『はい、』


わかりにくいから説明するね
さっきの蜂に例えて話すと

「蜂の巣は無事取り除きました」⏪摘出手術

「女王蜂が逃げてるかもしれないから森ごと焼きましょう」⏪放射線治療



Q.
なぜ巣を取り除いて森を焼いてでも再発の可能性があるの?

A.
蜂が森の外まで飛んでるかもしれないから。


そういう事。
だから放射線治療しなくても再発しない可能性もあるし

放射線治療しても再発する可能性もある。

そんなのやりたくないじゃんね?
やりたくないよ。

放射線の先生が後遺症について話した

・味覚が減るかもしれない
・間違いなく視力が下がる
・目の病気になる確率が上がる
・顔の皮膚が焼ける
・顔が腫れる
・顔の皮膚がただれるかもしれない
・反対に顔の皮膚がひび割れするかも
・口の中が焼ける
・口の中がただれるかも
・口の中がこげるかも
・髪の毛が抜ける

そんなの返事はNoに決まってる、無理だ。

こんなに嫌なことだらけなのに完治するかはわからないなんてあんまりじゃない?

放射線の先生に無理だと断って親にそう話した。

僕は弱い人間だと思ったよ
でもそれでいいと思った。

どうせ死ぬかもしれないなら
きつい事をするより
今から好きなだけ好きな事をしてあそんで死ぬ方が良いと心から思った。


でも両親に
生きる確率を上げて欲しいって言われた。

なんて身勝手なんだろうって思ったよ
自分だったら絶対しないくせにって。


でも生まれて一度も親の言うことを聞いたことがなかった僕は
どうせ死ぬかもしれないなら
一度くらい言うことを聞いておくか。

って、半分ヤケで放射線治療の同意書にサインをした。

放射線科で最初に始めたのはマスク作成。
マスクといっても顔面拘束具みたいなもので

顔の型をとってプラスティックで顔を機械に固定して焼く為のものだ。



そして初めて顔を焼いた時
口の中に炭とか煙みたいな苦い味を感じた。焼いてるから当然かもしれない。
目はレーザーを当てられたような強い光が刺さったし

あまりのきつさに笑ってしまった。やっぱり無理だって。
治療する方を選んだ僕の間違いだって。

続けられないよ。
でも一度始めた治療は中断出来なくて
僕は毎日顔を焼かれに放射線治療科に行った。
良くなるために治療してるって事を忘れるくらいに
日に日に顔は赤く腫れるし、
口の中はどんどん痛く苦くなるし、視力は下がっていくし
体力は奪われていく。

最初は何で体力が下がっていくか理解できなかったけど
顔のやけどって大怪我だもんね

身体の一部が壊れた時
それを治そうと身体全体が壊れた場所を治そうとして他の場所が弱っていく感じ。

僕は毎日自分にご褒美を与える事にして自我を保った
幸い病院にはレストランや食堂や売店など、買い物できる所がたくさんあって

食べたいものを食べたいだけ食べる事にした。

お仕事に戻る事も少しは考えたけど、体型維持より治療を優先した。

自分をたくさん甘やかした
誰か褒めて欲しかったけど
甘えるのは得意じゃなくて…

それでも放射線治療を初めてやっと約1ヶ月。七月とともに半分近くの治療が終わった頃

手術で切り取った細胞の研究結果が出た。

250万人に一人の鼻の癌の病気
【嗅神経芽細胞腫】
だと思われていたそれは
調べてみたらもっと悪い病気で

【奇形癌肉腫】
っていう世界でも類を見ない病気だったらしい。

世界でこの病気になった人は10人も居なくて

そのうち病気発症から3年以上生きた人は17%しか居ないらしい。

正直、治療法が合ってるかもわからないって言われた。

だから、放射線の量を強くするって。
もう、治療を初めた僕に断る選択肢が無くて良かったよ

毎日顔を焼かれに通った8月
痛みが強くなった
口の中がどんどん苦くなった
顔がもっと赤く腫れた



1日1日があり得ない程長く感じた。
楽しみな事は8月29日に治療が終わる事
8月28日に治療の休みを貰えて出勤する事になった事の二つだった。

終わったらしたい事をずっとずっと考えてた
生きたい場所 食べたいもの
見たい景色 やりたいこと

ずっと考えさせてくれてありがとう

今僕が生きてるのは
会う事ができた君のお陰だよ。

お金の話はしたくないけど
病室代も手術費も検査代も治療費も凄く高くて、
ホストってお仕事をしてなかったら払えなかったと思うよ。
生きる選択肢すら選べなかったかもしれない。

お金の話じゃなく

生きてこの世界に戻りたい思えたのも君のおかげ。

夢を見させてくれてありがとう。

毎日
夢を見ることで現実逃避しながら治療を受けた。

8月。

28日に戻る予定を発表した

まだ満足に動けなかったけど変な自信はあったよ。
その辺の人には負けないって

8月28日、出勤
たくさんの女の子が来てくれてノンアルシャンパンを入れて頂いた。



8月29日、また放射線治療。
最後の1日。

8月30日、出勤
〆日。出勤。

2日間で来てくれた女の子だけでNo.4までなる事が出来た。

9月、体調を整えながら少しずつ出勤。No.2。

本当に本当にありがとうね
きつくて、ほとんど連絡をしなかった僕にこんなに来てくれるなんて思ってなかったよ。

僕があと3年間生きれる確率は17%らしいけど
そんなん誰でも一緒だと思ってる。

健康な人だって明日事故で死ぬかもしれないんだから。
可哀想なのは病気の僕じゃなくて
大事な事に気づかずなんとなく生きてる人じゃないかな?

同情なんてしないで欲しい
僕はもう弱くないから。

一緒に楽しい事して輝こうよ

直径0.2ミリの流れ星みたいに。

ご指名は?



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おはうよ、歌舞伎町。【病気療養編:中編】

ねぇ。
花は誰のために咲くんだろう。

自分の種族を次の世代に残すため。
遠くから見つけて貰って種を運んでもらうため。
受粉させる虫を誘惑するため。

そう、
きっとそうなんだろう。
科学的にも、現実的にも。

でも、花って
同じ花から作ったクローンの種でも
「可愛い」「綺麗」「素敵」
って、肯定的な言葉を投げ掛け続けると
なにもしない種や罵声を浴びせた種より
早く成長するし、花が綺麗に咲くらしい。
原因はわからないけど
実験で証明されてる。

それってどういう事だろう
人間に媚びても受粉させて遠くまで種を運んでくれるわけでもないのに。

花が生き残るためだけに咲いている訳じゃないって事なのかもしれない。

花だって、心があって
「綺麗」って褒められたいのかもしれない。
人間に見つけて貰いたいのかもしれない。
愛されたいのかもしれない。

だとしたら僕らは何が出来るんだろう。
きっと答えは簡単で
思った事を口にだしてあげよう。

「可愛い」「綺麗」「素敵」「ありがとう」
って。
相手が花でも人でも
きっと今までより綺麗に咲いてくれる。
君のために。



おはうよ、歌舞伎町。
今回もつまらない話だから
面白い話や、ホストに関係する話を聞きたい人は
回れ右。

※注意 このブログにはグロテスクやショッキングな表現がある場合があります。ご注意下さい。


手術直後まで話したんだっけ、
そうそう、この前言い忘れたんだけど
歌舞伎町でいちばん長いんじゃないかって髪を短く切ったよね。僕。

あれは、今回の癌がとても難しい場所、まぁ鼻のずっと内側だからね。
フタを開けてみないと腫瘍のサイズも進行度もわからない状態だったから
色んな手術が出来るようにするためなんだ。

「顔を切るかもしれない」
「上顎を切り取って外すかもしれない」
「脳に近いから頭を開いて脳の一部を切り取るかもしれない」
(説明を受けながらこの辺で失神しそうになる僕)

まぁそんな理由で
頭開く時に髪の毛がもし入ったら大変な事になる
って理由で髪をかなり短く切らされたんだ。
もう、嫌な事続きでさ

僕メンタルかなり強い方なんだけど、
(なんかそんなに悪い事してきたかな)
(なんかの罰なのかな)
(罰にしては少し重すぎるんじゃないかな)
とか、正直かなり弱ったよ。

ただの花粉症の炎症だと思ってたのが
頭開いて脳を切り取るかもしれない
って言われるんだもんね、
その説明を受けた時
両親が一緒に居たんだけど
親が居て良かったよ。

両親を心配させたくなくて
『大丈夫だから』って出来るだけ笑顔で親に伝えた

居なかったら子供みたいに泣いてたかもしれない。
そんな気分だった。



まぁ順番が前後したけど
前回話した通り

結果、頭も顔も開かずに
鼻からの手術で腫瘍は無事取りきったんだけど

手術前にホルモン値が正常値の5~10倍だったのに対して
手術後はホルモン値が正常値のマイナス10倍くらいになって
(※ホルモン=身体や脳を動かしたりすために必要な信号的なもの)

大量のホルモン剤を点滴で入れ続ける事になった
この薬の副作用がまたきつくて
【副作用:うつ状態、多幸症、不眠、頭痛、眩暈、痙攣、筋肉痛、関節痛、満月様顔貌、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝、浮腫、】

とにかく精神の浮き沈みが異常だった
世界中に愛されてるような幸福感に満たされた直後に
光も音も温度もない地獄のような世界に自分一人だけ閉じ込められたような鬱感が襲ってきた。

正直、いくら話しても伝わらないと思うけど
きつすぎるから伝わらないくらいで良いと思うよ。

脳が全く回転しなかった
右手を動かしたいのにどうすれば右手が動くか考えなきゃいけないほど。右も左も手前も奥もわからなくて
身体が少し動くようになっても大量に食事をこぼした。
ご飯を食べようと思ってから
食べ終わるまでに2時間以上かかる時もあった。

復帰どころか本当に生きるのに精一杯だったよ。
笑っちゃうよね。



それでも日に日に回復して
車イス生活が始まった
介助士に病室から出して貰って院内の売店やレストランに行くのが楽しかった。

さらに数日経って
ゆっくり少しなら歩けるようになった。
人生を赤ちゃんやり直してるみたいだったよ。笑っ
目覚めて寝るだけ⏩食器持てるようになる⏩話せるようになる⏩車イス(ベビーカー)⏩つかまり立ち⏩ゆっくり歩き。

歩けるようになり
やっと少しだけ楽しみが出来てきたころ

手術をした耳鼻科の先生の診察に入った。
先生はピンセットと小さい掃除機みたいな器具で
手術後に鼻に詰めたガーゼや綿をどんどん取り出した。
掃除機って言っても分かりにくいよね
歯医者で使う吸引器みたいなの
鼻のどこにそんな綿つめるスペースがあるのかってくらい綿がどんどん出てきた。
僕の実感だけどティッシュ1箱分くらい。
まぁそれが凄く凄く痛くて
インフルエンザの検査とかで鼻に綿棒入れられたことない?
あれより大きい金属の機械でギュンギュン詰めた綿と固まった血を吸い取るの。
それこそ脳ミソギリギリまで機械突っ込まれてギュイーンって
これ、入院してからいちばん痛くてきつかった。死ぬかと思った。
血もドバドバ出てきた

鼻の中の全てを吸い取り終わったら
「よく失神しなかったね」
って先生に言われた。普通するのかよ。

また新しい綿を詰めて終わった。
歩いて処置室に入ったのに
帰りはきつすぎて車椅子で部屋に戻った。

その日は意識が飛ぶように即寝てしまって
次の日、朝を迎えた時に気付いた。
嗅覚が無くなった事に。

動けるようになってからは
毎日窓際に香水をふってたんだけど
その日から香水はただの水になってしまって
食事の味が著しく薄くまずくなった。
白ご飯なんてただのモサモサした物だし
海苔は食感しかない味のない紙みたい

鼻の嗅覚を感じる細胞を手術で切り取って、数日後更に鼻の中を血、神経、全て吸い取ってしまったから

その日から僕は一生匂いを全く感じれない身体になってしまった。
戻ることはないらしい。

無くして気づく物ってあるよね
君や僕が当たり前に感じてる、
当たり前に感じていた
視覚、触覚、聴覚、味覚、嗅覚。
ひとつ無くなるだけでこんなに世界が暗くなるのかと驚いてしまった。

嗅覚と味覚は連動してるから
味覚も感じない味がだいぶ増えてしまった。

正直お酒の味ももう分からないかもしれない。
夏の香り、プールの塩素の香り、緑の葉のにおい
花火の火薬のにおい。
蚊取り線香、お祭りの屋台の美味しそうなにおい。
炊きたてのご飯
焼きたてのパン

僕にはもう感じる事ができないもの。
無くなるって知ってれば一生懸命忘れないように記憶して回ったのに。

人生って難しいね。
普通に生きるって凄く凄く難しかったんだと思った。

もう、君の香りもわからないよ。
柔軟剤の香り、シャンプーの香り。

そんな事を考えていたら
香りの無くなった朝は
気づけば夜になっていた。

ツイッターで闘病アカウント作ってたので、一部貼っておきますね。

励ましてくれた尊敬する人達からの言葉も。

今日は話し疲れたから
また続き話すね。


入院して数日後







※手術2日前


※手術2日後

※この世界から匂いが無くなった日


※放射線治療が嫌すぎてお腹痛くなる



※放射線治療で顔を焼いて細胞を殺すため
副作用として視力が下がったり口の中が焦げたり髪の毛が抜け出した。

嫌な事続き過ぎて
ストレスかかると笑えてくるようになった。



※短期間できつい事経験しすぎて髪の毛抜ける事さえ笑えるようになった


※癌だと発覚した時のみおさん。
手術前に診察室まできた。(家族しか入れないとこ)


※朔夜恋さんからの励まし。認められて嬉しい


※草摩由希社長がもはや神なんじゃないかと


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